地域生活定着支援センターでは保護観察所からの依頼を受けて要件に該当する矯正施設退所予定者の退所後の福祉支援の調整を行います。こうした人を事業では「特別調整対象者」と呼んでいますが、対象者は下記「特別調整対象者となる要件」のとおりです。
[ 特別調整対象者となる要件 ]
(平成21年4月17日付け 法務所保観第244号 法務省矯正局長・保護局長通達)
福祉の支援を必要とする矯正施設退所者の多くが、「所持金がない」「預金がない」「頼れる身寄りがいない」といった状態で支援が開始されますので、「所得保障」は必要不可欠な手立てです。
センターでは、可能な限り矯正施設入所中に所得保障と成り得る手立て(障害基礎年金・厚生年金等)の申請・照会等を矯正施設・保護観察所及び行政等と連携して行います。
また、年金による所得保障が難しい対象者には、矯正施設退所後、円滑に「生活保護」が受給できるよう、事前に行政との合同支援会議等を行うようにしています。
対象者の選定はQ1の要件によりますが、この際、矯正施設の社会福祉士等が面接を行い、福祉の支援の必要性等について判断されます。
また、対象者が「特別調整対象者」として選定された後に、地域生活定着支援センターは対象者と面接し、本人にどのような福祉の支援が必要であるかアセスメントします。その際にも福祉サービスの必要性や福祉サービスの利用が本人になじむのかなどを、本人が罪を犯した際の状況、相談者・支援者の有無、医療ニーズの有無などを考慮して判断します。
このように2段階の福祉専門職による面接を実施し、対象者へ福祉の支援の妥当性を総合的に判断しています。
なお、対象者を受入先の施設等につないだ後も、地域生活定着支援センターは一定期間継続してフォローアップを行い、施設等といっしょになって対象者の安定した生活をバックアップします。
この事業の背景には、本来セーフティネットであるべきはずの福祉の支援がなされなかったために、必要な支援が受けられず、その結果、矯正施設が福祉の代替施設となってしまっている人たちがいるという実態があります。
私たち福祉関係者は、まず、これまでに福祉の支援がなされなかった人たちがいることを知り、その上できちんと手当てを行い、そうした人たちを迎え入れ、支えるための体制を整えなければなりません。
また、犯罪だけに目を向けるのではなく、その人が罪を犯さざるをえなかった背景やその人の生活歴といった「その人自身」にまずは目を向けていくことが必要です。そうすると、おのずから福祉が支援していくことの必要性が理解できると思います。
[ ことばの解説 ]
法務省の地方支分部局で、犯罪や非行を犯し家庭裁判所の決定により保護観察になった少年、少年院から仮退院になった少年、刑務所や少年院から仮釈放になった人、保護観察付の刑執行猶予となった人に対して保護観察等を行う機関。
<県内の保護観察所> 岐阜保護観察所
刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別及び婦人補導院を指す。 この事業では刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院が対象となる。
<県内の刑務所> 岐阜刑務所、笠松刑務所
矯正施設から退所された人や保護観察を受けている人のうち、頼るべき親族がいなかったり生活環境に問題を抱えている人たちを一定期間宿泊させ、食事の提供、就職援助、社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うなどして、その再犯を防ぎ、円滑な社会復帰、自立を支援する施設。
<県内の更生保護施設> 光風荘、洗心之家